
朝の11時、ビニール袋を握りしめてうずくまっていた
いつから気を失っていたのか。 冷たい床の上で、吐き気と痛みに耐えることしかできなかった。
声にならないうめきが、喉の奥でくすぶっていた。
限界だった。
トリプルワークで睡眠は2〜3時間。
食事もままならず、薬を買う金すらなくて我慢し続けた。
それでも金は足りなかった。
返済どころか、家賃も滞納したまま。
──そして、ついに病気を宣告された。
「重度の胃潰瘍からの出血です。入院してください。
これ以上無理をすれば、最悪…命に関わります」
もう働けない。
いや、働いちゃいけない。
でも──止まった瞬間、俺の生活も全部終わる。
病院の天井を見上げながら、俺は考えた。
支払いは山のようにある。
督促の電話は止まらない。
スマホの通知も、もう怖くて見れない。
貯金は数百円。
頼れる人間も、もういない。
猫たちだけが、俺の異変に気づいていた
いつもと違う俺を、察したのかもしれない。
どんが、顔を覗き込んできた。
ぼすが、心配そうに小さく鳴いた。
とのは、少し離れたところで、じっと見つめていた。
もしこのまま身体が動かなくなったら──
俺が死んだら、こいつらはどうなる?
その想像だけで、涙が出た。
冷たい床が、背中から命を吸い取っていくようだった。
仕事も、金も、信頼も、未来も。
全部なくした人間が、どれだけ脆いかを思い知った。
でも──俺が倒れたら、誰も世話できない。
ペット可の家に住み続けられる保証もない。
施設に連れて行かれたら、二度と会えないかもしれない。
その現実を想像した瞬間、心が折れた。
俺が潰れるってことは、
こいつらの未来を消すってことなんだ。
…これは、想像で終わらない
この前、仕事場から戻って心臓の痛みと気怠さで倒れこむように寝た。
あ、これあかんやつやん ──
年齢もあるし、ヤバいんじゃないかって本気で思った。
今回はたまたま、ただの風邪っぽいけど。
今、このまま変わらなければ── これは「起こりうる最悪」じゃなく、「ただの現実」になる。
でも俺は、まだ動ける。
限界ギリギリでも、まだ終わってない。
あいつらの未来を守れる、最後のチャンスかもしれない。
──だから今、変える。
──立て直す。
──もう一度、生きなおす。
──これは、まだ“始まり”にすぎない。
この物語には、続きがある。 まだ語っていない、俺が生きる理由と、未来に残したいもの。
たとえ、すべてを失ったとしても──
再度決意をして立ち上がった男が、
何を守り、何を賭けて、何を掴もうとしているのか。
「再起の理由」と、「未来に繋がる挑戦」を──
次回、すべて話す。
──きっと、他人事じゃいられなくなる。